カリフォルニア州在住のスティーブ・キモック、グレイトフルデッドファンが、あんな事こんな事。いろんな事、書きます。

It's up to you 〜Steve Kimock freak's diary〜

9/28/2012 Zigaboo Modeliste @ Sweetwater Music Hall



「Zigabooってどんなドラマー?」と聞かれたとしたら、「ファンクという新しい音楽言語を作り出したドラマー。」と答えます。
Zigabooがいなきゃ、今名が売れて活躍しているドラマーの何人かは間違いなくいなかっただろうと思う。少なくともRodney HolmsはKimockと一緒にプレーすることはなかったはず。
Jerryがいなけりゃ、Kimockは今の位置にはいなかった。というのと同じで。

こんな偉そうなこと言ってますが、ファンクというのは個人的には極めてわかりにくいジャンルだった。日本にいるときはファンク、ジャズ、レゲエは三大謎だった。でもこっちに来てショーを見たら、なんのためらいもなく身体に入り込んできた。

特にファンク。
JBやSlyなど分かりやすいものを除いて、レコードでは良さが十分に伝わってこなかった、少なくとも私には。リズム主体で、色どりがなく一本調子で、「んー」。たまに「アー(濁音付きで)」とか言ってるし、そんな青筋立ててがなられても、しかもホーンも邪魔くさい…みたいな。全然わかってなかった。
しかしショーを見ると、心地よくグルーヴに乗るには一本調子なリズムじゃなきゃならないし、下っ腹に響くにはベースはきつくなきゃいけないし、入るべきところでホーン系の楽器が入らなきゃならないし、たまに来る「アー(濁音付きで)」がたまらなく、気が付けばこっちも「アー(濁音付きで)」って叫んでいる。

Zigabooに出会えたのは、本当にラッキーだった。
とにかくハイエナジーで迫ってくる。数時間ほとんど絶え間なく叩き込んでくるリズム…クラベ(Not Fade Awayのリズム)がこんなに退屈じゃなく聞かせられるのはZiggyだからだと思う。

会場の誰かが誕生日だったようで、おなじみの「Happy Birthday」の曲をやった。こういうのは結局ベタになってしまう事が多くあんまりほめられたことじゃないなーといつも思ってしまうのだけど、あんなかっこいいfunky happy birthdayは今までに聞いたことがなかった。

最近は本当にラッキーなことにファンクに近い生活をしている。変な言い方だけど。
Bernie Worrell、George Porter JrがKimockと一緒にプレーするのをFur Peace Ranchで見たばかりだ。ショーの後Steveに「FunkadelicとMetersってFunkのパイオニアが一緒に演奏したなんて、本当に信じられない」と言ったら、いちファンに戻ったSteve、目を輝かせ「本当にそうだよな!」って興奮した様子だったのを覚えている。

Zigabooに話を戻すと、正真正銘のエンターテイナー+国宝級の腕の持ち主。金曜の夜ってことでオーディエンスが荒れ気味だったにもかかわらず、かなりfunkで燃え上がってました、Sweetwater。とてもシンプルなんだけど、そこにイレギュラーなおかずが入ってくる。でもビート自体は決して乱れることがない。しかもそのおかずがユニークで美味で仕方がない。
いやはや参りました。

このショーにはもう一つおまけがあった。
ギターがお気に入りのChris Rossbachだったのだ。いやーたまんない。
元SlyのBobby Vegaがベースでデュオとして活躍していた時期もあったが、最近はZigaboo一本みたい。キメ細かいギターワークは健在。Novax+Boogie+Stereo Memory manというかなりシンプルなセッティングから刻まれるリズムは完ぺき。しかもすべてねらってやっている感がすごい。ブレがない。Zigabooがメインの音楽監督だけど、Chrisは副監督ですね。細かな指示はChrisが出してました。Zigabooは声+ドラムってことで手いっぱいだからね。

一か月くらい前のレイジーサマーデイズのステージも良かったが、今回は2セットという事でセットブレイク含め4時間。たっぷり最前で楽しませてもらいました。

8/24/2012 - 8/26/2012 Lazy Summer Daze @ Leland Meadow, Pinecrest

まずはこのフェスの頭文字に注目。…っつうことです。
キャンプ場+ステージ周辺はこんな感じ。


んーと、次にラインナップ。
金曜日:
メインステージ
Grasshoppers
Joe Craven Trio
Steve Kimock
レイトナイトステージ
Grasshoppers
Delta Nove

土曜日
メインステージ
Jugdealers
Sycamore Slough String Band
Col. Bruce Hampton
The David Nelson Band
Zigaboo Modeliste
The Dead Kenny G’s
Zero
レイトナイトステージ
Jugdealers
Jamie Janover

日曜日
メインステージ
Clan Dyken
Moonalice
George Porter Jr. and Runnin’ Parners
JGB featuring Melvin Seals
Garage a Trois
7Walkers
レイトナイトステージ
Xtra ticket

このメンツはどのフェスよりも凄いという事。
何が凄いか?
金曜、土曜とKimockがトリ。→ここに来なかったベイエリアの「Kimock Fan」は、はっきり言って偽物です。笑
土曜日のラインナップのすさまじさ。→数年前までよく「フェスするんだったらChris RossbachとBarry SlessとSteve Kimockを一緒のステージに立たせたいね」なんて夢見ていたのが、まさに現実に!!!

そして、実際現地に行ってみて気が付いたこと。
知らないバンドもいっぱいあったけど、捨てバンドゼロ。
誰のアイデアでこのラインナップになったかは知りませんが、私との趣味の相性は100%一致。
大体どのフェスでも、「何コレ」な一服休憩バンドがあるものですが、このフェスにはなかった。知らなかったバンドも超クール。
Grasshoppersのギターは完全にツボでした。見たい。ツアーしてたら行きます。
Col. Bruce Hampton。激渋。あと、何あのギタリスト。立ってラップスチール弾いてんの。しかも上手い。カーネルもギター、歌共に上手い。上手い上手い上手い。
Dead Kenny G’s。パンクジャズ。多分意見が分かれると思うけど、私はコレ系好きです。ぶっ飛びヒッピー系フェスには、こういうスパイスがなきゃ。しかしこれもめちゃ上手い。


あまりにもメガ級の快楽垂れ流し経験が為、ちょっとトピックを絞って、かいつまんで。
さぁ、がんばれ。

三大サイケ頭ギタリストの巻。
それはSteve Kimock, Barry Sless, Chris Rossbachのこと。
みなJerry Garciaの直の子供たち。
それが一日で見られたというのは、はっきり言って奇跡。
今までもなかったでしょうし、今後もないはず。

まず最初に現れたのはDavid Nelson BandのBarry Sless。
彼を表現してリリカル、抒情的という人がいるが、これじゃ何かよくわからない。「自分の感情をうまく表現して音にすることができる」という意味だろうけど、それでは上手なギタリストはみんなリリカルに当てはまってしまう。
あまり音楽を学問として学んだことがないから詳しくは解らないが、三連符というのがある。トリプレッツって言うんだっけ。「タタタ、タタタ」とくるリズム。これをBarry以上に美味く弾けるギタリストを、私は聞いたことがない。Scott WalkerのAttrezzoから紡ぎだされるこの三連符は大抵平坦に弾かれることはなく、大体「タタタ(大小大)」のような感じで弾かれる。しかもいつも、「タタタ(大小大)」「タタタ(大小大)」で弾かれるのではなく「タタタ(大小大)」「タタタ(小大小)」の様に崩すパターンも入ってくる。これが繰り返されると一つの波が重なりかさなり迫ってくることになる。
この波乗り感覚が聞いていてとても気持ちがいい。これがBarryのサイケ感なのだ。Jerryもこのテのリズムワークはとても上手だった。
なので彼のギターはとても液体感が充満していて、水が流れるような感じだ。
これがPete Searsの竹を割って捨てるような、縦型、直情的なベースと絡むとちょうど陰と陽が重なるかのような快感が走ることになる。
BarryとPeteは超サイケデリックである。ガッテンしていただけましたでしょうか?

次Chris Rossbachが、Novax Expressionを持って、Zigabooのギタリストとしてステージに出てきた。この人は基本はファンクギタリストだと思っている。
今までもSly and the Family StoneのBobby Vegaなんかとも一緒にCDを出してたり、Sly、Metersとくれば、やっぱりファンクが芯から好きなんだと思う。
ファンクはつまるところにリズム重視で、何かと休符の多いジャンルだ。
Chrisの特徴として、刻み上手いというところが挙げられる。カツンかツンと休符と休符の間を小さく埋める。そしてこの休符と音の間にわずかに聞こえるギターが弦にあたる音、これがとても美味だ。い〜い音なのだ。
ミュート音と休符で聞かせるという、とてもユニークなギターなのだ。
覚えていらっしゃる方もいるでしょう。Jerryのフリルの付いたようなキラキラな音。80年代後半から、亡くなるまで彼のギターサウンドにはいつも透明虹色のフリルのような、ギターのアタック音があった。あれが、ここにもChrisの音にもあるんです。
で、ソロになると彼のギターは一気に豹変。らせん状の階段をニルヴァーナに向かって駆け上るような。そんなソロを聞かせてくれる。好きにならないわけないでしょう?
音楽の世界は時にとても数学的。3度、5度。それからC7, Dm5。2小節目から犬悵榮亜など数字が苦手な人には頭が痛くなるような世界。Chrisはそういった事がすべて頭の中に入っているはずだ。教会などに行くととても細かい幾何学模様のステンドグラスがあったりするが、たとえてみればそれがChrisのソロの世界だ。小さくきれいにカットされた三角やら四角やらがすごいスピードで空間を埋め、ハマるべきところにはまっていき、気が付いてみるとカラフルなステンドグラスのような音像が浮かび上がる。
直感まかせではなく、あくまで熟練の職人技。結果としてサイケなのではなく、彼の頭に出来上がっている図面自体がサイケ文様を描いている。Chrisはサイケ音像のアーキテクトというのが結論です。


さて次のZeroはわが師匠のSteve Kimock。
この人の出所はまったく分からない。何度聞いてもブルーズの影はあるけどブルーズでなく、ファンクの影はあるけどファンクでなく、レゲエかと思うとそうではない。
ジャンルで分けられないのは、彼の音楽はこういった既成のジャンルを完全に消化したうえで彼自身の感情と直結しているからだろう。自分がジャンルになっている、と言ってもいい。
すべてのギタリストがSteveのように自分自身の感情に直結していれば、ギタリストの数だけの音が出てくるわけで、とても興味深い音世界が産まれているはずだ。
どうであれ、彼のギターは”Inspiration move me brightly”というあの歌詞を思い出させる。とても直感的なもので、それを表現できるだけの訓練を積んできたのが目に見える。次のKimockは間違いなく現れない、Jerryがそうであったように。その瞬間瞬間を切り取る、直感こそが、キーワードだ。
彼のサイケデリアはそこにある。澄み切ったクリーントーンの奥底に、Steveという人を通して「ヒト」そのものが見えてくる。あなたのその目の前にいるヒト、自分も含めて、この地球上に、そしてこの時代に、偶然に存在し、偶然に関わり合って生きている。地球上に、この時代に、あなたはひとりしかいない。ポッと出てきたと思ったら、いろいろなものに翻弄され、流され、ある日にポッと消えてなくなる。その流れはその人の感情とは全く関係がない。
でも地球上に一人しかいないあなたでも、他の人とつながれる瞬間がある。例えばジャムの真っ最中、ちょうどこの音が欲しいと思った時、Steveがギターの弦をベンドしてその欲しい音を鳴らしてくれる、そんな時がある。その共時性こそが彼のサイケデリアである。
つまり、わたしたちはそれぞれ生まれてから死ぬまでずっと一人なのに、一人ではないときがあることを感じさせてくれる。錯覚かもしれない。でもその「欲しいときに欲しいものをもらえる」、母体内にいるような心地よさは一回味わったらおいそれと忘れられるものではない。この快楽は錯覚ではないことは確かだ。
このシンクロニシティ快楽はやっぱりライブじゃないと起こらない。ライブレコーディングでも駄目だし、スタジオでも駄目。その場にその時いないとその醍醐味は味わえない。その次から次へと起こる「不思議な偶然」は、あまりにも何度も起こるので、しまいには不思議でも偶然でもなくなってくる。つまりミラクルを信じ「物事はあるべき方向へ進むものだ」という半ば諦めのような感情にかわり、「んじゃ、どうせなら今を楽しもうぜ」という方向に向かうようになる。
以上、僕がSteve Kimock体験を重ねるうちにたどってきた道です。
音楽という枠を超えるものがあるでしょ。苦笑。

全然ライブレポじゃなくてすみません。


こぼれ話。
1.以前Daze BetweenというフェスがSFであって、そーへいさん、りっきーさんと一緒に行きましたよね。それと同じオーガナイザー。今回は初めてデカいフェスってことで、かなりの混乱がありました。
金曜日、私の仕事が遅くまであってスケジュールからみたら、Kimockはファーストセットは間違いなく見逃して、セカンドセットも途中くらいの時間に到着したんですが…最初からいた友人のマイキーに聞いたら、「まだファーストセットの4曲目だ」っていう。
あとで聞いてみたらKimock前にプレーしたJoe Cravan。ちゃんと時間に到着していたにもかかわらず、ゲートで「お前は出演するアーティストじゃないだろう」と止められ、中に入れずにコンサート開始が遅れたという、冗談のような話。
確かにJoeは胡散臭い風体(ごめん、Joe)の人だけど、「ステージ上はJoeはどこだ!?」ってなってたはず。セキュリティー気が付かなかったのかね。。。

2.土曜日のSycamore。David Gansがボーカルギターのバンドで、New Speedway Boogie演奏中、ステージ上の屋根が強風でぶっ飛んだ。ステージ真下で見ていたので、びっくりした。

こうだったのが


こうなった


けが人が出なかったのは不幸中の幸いだったけど、ショーは中断。復旧するのに2〜3時間はかかって、土曜日のスケジュールも大幅に遅れ、Zeroが出てきたのは夜半過ぎ。12時半を回ったころで、終了したのは3時近く。標高が高い場所なので、気温が一気に下がって、むっちゃ寒かった。ステージ上もみんな手をすりすりこすりながら演奏。

3.客がいなかった。こんなにいいメンツなのに全然入っていない。アーティストへのギャラの問題も発生したらしく、当初土曜日の夜ステージに予定されていたBobby Vega Band、キャンセル。Bobbyは現れもせず。ガセ、ジョークだったというウワサもあり。でもそんな全然人が入っていないフェスだったので、アーティストは野放し状態。
Barry Slessとも初めて話した。
DNBの後、
私:「いいショーだったよ」B:「ありがとう」
私:「今夜Bobby Vegaと一緒に演るんだってね、楽しみだよ」
B:「いやー実はみんなそういうんだけど、僕は何にも聞いていないよ。どこでその話聞いたの」
私:「え……いやーそうなの?! ウェブサイトに載ってたよ。あーそーなんだ。そりゃかなり失望だな(よくも言ったもんだ…)。でも明日Moonaliceはでるんでしょ。」
B:「うん。それは確実だよ。」
私:「じゃ、それは楽しみにしてるわ、ありがとう。」
B:「ありがとう。」
とても柔和な人。
Chris Rossbachも赤ちゃんと奥さんと一緒に来てたので、近況報告。そこでもBobbyのことを話すと、「え、知らない」みたいな感じだった。赤ちゃんが凄くデカく、奥さんが凄く小さかったのが笑えた。
憧れのZigabooさんともお話しできた。9月にSweetwaterでギグがあるというので、ぜひ行きますと。あー緊張した。

とにかく最初から最後までかなりワイルドなフェスでした。
でもあんな楽しい思いをしたのは久しぶり。やみつきになりそうです。キャンピングもいいじゃんって思いました。

写真、あんまりなくてすみません。
唯一、ショーの写真(一日目のKimock)

携帯、すぐに死んでしまいました。インターネット、携帯の電波なしの3日間。俗世を忘れ楽しんだフェスでした。
PROFILE

kochan

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