カリフォルニア州在住のスティーブ・キモック、グレイトフルデッドファンが、あんな事こんな事。いろんな事、書きます。

It's up to you 〜Steve Kimock freak's diary〜

8/24/2012 - 8/26/2012 Lazy Summer Daze @ Leland Meadow, Pinecrest

まずはこのフェスの頭文字に注目。…っつうことです。
キャンプ場+ステージ周辺はこんな感じ。


んーと、次にラインナップ。
金曜日:
メインステージ
Grasshoppers
Joe Craven Trio
Steve Kimock
レイトナイトステージ
Grasshoppers
Delta Nove

土曜日
メインステージ
Jugdealers
Sycamore Slough String Band
Col. Bruce Hampton
The David Nelson Band
Zigaboo Modeliste
The Dead Kenny G’s
Zero
レイトナイトステージ
Jugdealers
Jamie Janover

日曜日
メインステージ
Clan Dyken
Moonalice
George Porter Jr. and Runnin’ Parners
JGB featuring Melvin Seals
Garage a Trois
7Walkers
レイトナイトステージ
Xtra ticket

このメンツはどのフェスよりも凄いという事。
何が凄いか?
金曜、土曜とKimockがトリ。→ここに来なかったベイエリアの「Kimock Fan」は、はっきり言って偽物です。笑
土曜日のラインナップのすさまじさ。→数年前までよく「フェスするんだったらChris RossbachとBarry SlessとSteve Kimockを一緒のステージに立たせたいね」なんて夢見ていたのが、まさに現実に!!!

そして、実際現地に行ってみて気が付いたこと。
知らないバンドもいっぱいあったけど、捨てバンドゼロ。
誰のアイデアでこのラインナップになったかは知りませんが、私との趣味の相性は100%一致。
大体どのフェスでも、「何コレ」な一服休憩バンドがあるものですが、このフェスにはなかった。知らなかったバンドも超クール。
Grasshoppersのギターは完全にツボでした。見たい。ツアーしてたら行きます。
Col. Bruce Hampton。激渋。あと、何あのギタリスト。立ってラップスチール弾いてんの。しかも上手い。カーネルもギター、歌共に上手い。上手い上手い上手い。
Dead Kenny G’s。パンクジャズ。多分意見が分かれると思うけど、私はコレ系好きです。ぶっ飛びヒッピー系フェスには、こういうスパイスがなきゃ。しかしこれもめちゃ上手い。


あまりにもメガ級の快楽垂れ流し経験が為、ちょっとトピックを絞って、かいつまんで。
さぁ、がんばれ。

三大サイケ頭ギタリストの巻。
それはSteve Kimock, Barry Sless, Chris Rossbachのこと。
みなJerry Garciaの直の子供たち。
それが一日で見られたというのは、はっきり言って奇跡。
今までもなかったでしょうし、今後もないはず。

まず最初に現れたのはDavid Nelson BandのBarry Sless。
彼を表現してリリカル、抒情的という人がいるが、これじゃ何かよくわからない。「自分の感情をうまく表現して音にすることができる」という意味だろうけど、それでは上手なギタリストはみんなリリカルに当てはまってしまう。
あまり音楽を学問として学んだことがないから詳しくは解らないが、三連符というのがある。トリプレッツって言うんだっけ。「タタタ、タタタ」とくるリズム。これをBarry以上に美味く弾けるギタリストを、私は聞いたことがない。Scott WalkerのAttrezzoから紡ぎだされるこの三連符は大抵平坦に弾かれることはなく、大体「タタタ(大小大)」のような感じで弾かれる。しかもいつも、「タタタ(大小大)」「タタタ(大小大)」で弾かれるのではなく「タタタ(大小大)」「タタタ(小大小)」の様に崩すパターンも入ってくる。これが繰り返されると一つの波が重なりかさなり迫ってくることになる。
この波乗り感覚が聞いていてとても気持ちがいい。これがBarryのサイケ感なのだ。Jerryもこのテのリズムワークはとても上手だった。
なので彼のギターはとても液体感が充満していて、水が流れるような感じだ。
これがPete Searsの竹を割って捨てるような、縦型、直情的なベースと絡むとちょうど陰と陽が重なるかのような快感が走ることになる。
BarryとPeteは超サイケデリックである。ガッテンしていただけましたでしょうか?

次Chris Rossbachが、Novax Expressionを持って、Zigabooのギタリストとしてステージに出てきた。この人は基本はファンクギタリストだと思っている。
今までもSly and the Family StoneのBobby Vegaなんかとも一緒にCDを出してたり、Sly、Metersとくれば、やっぱりファンクが芯から好きなんだと思う。
ファンクはつまるところにリズム重視で、何かと休符の多いジャンルだ。
Chrisの特徴として、刻み上手いというところが挙げられる。カツンかツンと休符と休符の間を小さく埋める。そしてこの休符と音の間にわずかに聞こえるギターが弦にあたる音、これがとても美味だ。い〜い音なのだ。
ミュート音と休符で聞かせるという、とてもユニークなギターなのだ。
覚えていらっしゃる方もいるでしょう。Jerryのフリルの付いたようなキラキラな音。80年代後半から、亡くなるまで彼のギターサウンドにはいつも透明虹色のフリルのような、ギターのアタック音があった。あれが、ここにもChrisの音にもあるんです。
で、ソロになると彼のギターは一気に豹変。らせん状の階段をニルヴァーナに向かって駆け上るような。そんなソロを聞かせてくれる。好きにならないわけないでしょう?
音楽の世界は時にとても数学的。3度、5度。それからC7, Dm5。2小節目から犬悵榮亜など数字が苦手な人には頭が痛くなるような世界。Chrisはそういった事がすべて頭の中に入っているはずだ。教会などに行くととても細かい幾何学模様のステンドグラスがあったりするが、たとえてみればそれがChrisのソロの世界だ。小さくきれいにカットされた三角やら四角やらがすごいスピードで空間を埋め、ハマるべきところにはまっていき、気が付いてみるとカラフルなステンドグラスのような音像が浮かび上がる。
直感まかせではなく、あくまで熟練の職人技。結果としてサイケなのではなく、彼の頭に出来上がっている図面自体がサイケ文様を描いている。Chrisはサイケ音像のアーキテクトというのが結論です。


さて次のZeroはわが師匠のSteve Kimock。
この人の出所はまったく分からない。何度聞いてもブルーズの影はあるけどブルーズでなく、ファンクの影はあるけどファンクでなく、レゲエかと思うとそうではない。
ジャンルで分けられないのは、彼の音楽はこういった既成のジャンルを完全に消化したうえで彼自身の感情と直結しているからだろう。自分がジャンルになっている、と言ってもいい。
すべてのギタリストがSteveのように自分自身の感情に直結していれば、ギタリストの数だけの音が出てくるわけで、とても興味深い音世界が産まれているはずだ。
どうであれ、彼のギターは”Inspiration move me brightly”というあの歌詞を思い出させる。とても直感的なもので、それを表現できるだけの訓練を積んできたのが目に見える。次のKimockは間違いなく現れない、Jerryがそうであったように。その瞬間瞬間を切り取る、直感こそが、キーワードだ。
彼のサイケデリアはそこにある。澄み切ったクリーントーンの奥底に、Steveという人を通して「ヒト」そのものが見えてくる。あなたのその目の前にいるヒト、自分も含めて、この地球上に、そしてこの時代に、偶然に存在し、偶然に関わり合って生きている。地球上に、この時代に、あなたはひとりしかいない。ポッと出てきたと思ったら、いろいろなものに翻弄され、流され、ある日にポッと消えてなくなる。その流れはその人の感情とは全く関係がない。
でも地球上に一人しかいないあなたでも、他の人とつながれる瞬間がある。例えばジャムの真っ最中、ちょうどこの音が欲しいと思った時、Steveがギターの弦をベンドしてその欲しい音を鳴らしてくれる、そんな時がある。その共時性こそが彼のサイケデリアである。
つまり、わたしたちはそれぞれ生まれてから死ぬまでずっと一人なのに、一人ではないときがあることを感じさせてくれる。錯覚かもしれない。でもその「欲しいときに欲しいものをもらえる」、母体内にいるような心地よさは一回味わったらおいそれと忘れられるものではない。この快楽は錯覚ではないことは確かだ。
このシンクロニシティ快楽はやっぱりライブじゃないと起こらない。ライブレコーディングでも駄目だし、スタジオでも駄目。その場にその時いないとその醍醐味は味わえない。その次から次へと起こる「不思議な偶然」は、あまりにも何度も起こるので、しまいには不思議でも偶然でもなくなってくる。つまりミラクルを信じ「物事はあるべき方向へ進むものだ」という半ば諦めのような感情にかわり、「んじゃ、どうせなら今を楽しもうぜ」という方向に向かうようになる。
以上、僕がSteve Kimock体験を重ねるうちにたどってきた道です。
音楽という枠を超えるものがあるでしょ。苦笑。

全然ライブレポじゃなくてすみません。


こぼれ話。
1.以前Daze BetweenというフェスがSFであって、そーへいさん、りっきーさんと一緒に行きましたよね。それと同じオーガナイザー。今回は初めてデカいフェスってことで、かなりの混乱がありました。
金曜日、私の仕事が遅くまであってスケジュールからみたら、Kimockはファーストセットは間違いなく見逃して、セカンドセットも途中くらいの時間に到着したんですが…最初からいた友人のマイキーに聞いたら、「まだファーストセットの4曲目だ」っていう。
あとで聞いてみたらKimock前にプレーしたJoe Cravan。ちゃんと時間に到着していたにもかかわらず、ゲートで「お前は出演するアーティストじゃないだろう」と止められ、中に入れずにコンサート開始が遅れたという、冗談のような話。
確かにJoeは胡散臭い風体(ごめん、Joe)の人だけど、「ステージ上はJoeはどこだ!?」ってなってたはず。セキュリティー気が付かなかったのかね。。。

2.土曜日のSycamore。David Gansがボーカルギターのバンドで、New Speedway Boogie演奏中、ステージ上の屋根が強風でぶっ飛んだ。ステージ真下で見ていたので、びっくりした。

こうだったのが


こうなった


けが人が出なかったのは不幸中の幸いだったけど、ショーは中断。復旧するのに2〜3時間はかかって、土曜日のスケジュールも大幅に遅れ、Zeroが出てきたのは夜半過ぎ。12時半を回ったころで、終了したのは3時近く。標高が高い場所なので、気温が一気に下がって、むっちゃ寒かった。ステージ上もみんな手をすりすりこすりながら演奏。

3.客がいなかった。こんなにいいメンツなのに全然入っていない。アーティストへのギャラの問題も発生したらしく、当初土曜日の夜ステージに予定されていたBobby Vega Band、キャンセル。Bobbyは現れもせず。ガセ、ジョークだったというウワサもあり。でもそんな全然人が入っていないフェスだったので、アーティストは野放し状態。
Barry Slessとも初めて話した。
DNBの後、
私:「いいショーだったよ」B:「ありがとう」
私:「今夜Bobby Vegaと一緒に演るんだってね、楽しみだよ」
B:「いやー実はみんなそういうんだけど、僕は何にも聞いていないよ。どこでその話聞いたの」
私:「え……いやーそうなの?! ウェブサイトに載ってたよ。あーそーなんだ。そりゃかなり失望だな(よくも言ったもんだ…)。でも明日Moonaliceはでるんでしょ。」
B:「うん。それは確実だよ。」
私:「じゃ、それは楽しみにしてるわ、ありがとう。」
B:「ありがとう。」
とても柔和な人。
Chris Rossbachも赤ちゃんと奥さんと一緒に来てたので、近況報告。そこでもBobbyのことを話すと、「え、知らない」みたいな感じだった。赤ちゃんが凄くデカく、奥さんが凄く小さかったのが笑えた。
憧れのZigabooさんともお話しできた。9月にSweetwaterでギグがあるというので、ぜひ行きますと。あー緊張した。

とにかく最初から最後までかなりワイルドなフェスでした。
でもあんな楽しい思いをしたのは久しぶり。やみつきになりそうです。キャンピングもいいじゃんって思いました。

写真、あんまりなくてすみません。
唯一、ショーの写真(一日目のKimock)

携帯、すぐに死んでしまいました。インターネット、携帯の電波なしの3日間。俗世を忘れ楽しんだフェスでした。

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